石鹸とは?

石鹼(石鹸・せっけん)とは、高級脂肪酸の塩の総称であり、特に、脂肪酸ナトリウムまたは、脂肪酸カリウムを指す。 工業的には、動植物の油脂からつくられる。

界面活性剤であるため、油などの汚れを洗浄できる。 また、細菌の細胞膜やウイルスのエンベロープを破壊するため、一部の病原体から身を守るのに有効である。 また、純石鹸(じゅんせっけん)と呼ぶ場合は石鹸本来の製法である鹸化法で製造した、炭酸塩を含まない石鹸を指す。

発祥と製法

動物の肉を焼いた際、滴り落ちた油脂を木の灰(アルカリ)が鹸化し、土にしみ込み、その土で手を洗ったら汚れがとれると気がついた、というのが発祥と言われる。

製法は油脂鹸化法と脂肪酸中和法の2種類がある。 油脂鹸化法は牛脂、椰子油、オリーブ油などの天然油脂と水酸化ナトリウム(NaOH)を用いて鹸化して、多量の食塩を加えて塩析させて分離する。 NaOHは海水や食塩水の電気分解でも精製可能である(塩素に注意)。 脂肪酸中和法は脂肪酸をアルカリで中和させてつくるので、残留塩基がなくなり皮膚、粘膜にやさしい石鹸が得られる。 ナトリウム石鹸に比べ、カリウム石鹸は溶解性が高く液体石鹸を作ることができる。 しかし日本の風呂場では溶けてしまうので浴用せっけんとしてはナトリウム石鹸が適する。

環境への影響

環境教育や表示指定成分(添加物)が人体や環境に与える悪影響を伝える情報が広まり、オリーブオイルなどの原料によって、石鹸を手作りする人々が増加している。 目的は、環境保全の一環であったり、アレルギーの回避やスキンケアなどである。 ただ、原料に使われる水酸化ナトリウム・水酸化カリウムは劇物であり、安全な防護策を施した上で製造することを推奨する意見もある。 また、処方通り作らないと原料が残留し、肌に悪影響を及ぼしたり、残留した油脂による汚染も懸念される。 排水後石鹸カスとなり界面活性力を失う事や生分解性が良好であるため環境にやさしいと言われているが、水の硬度により使用量が多くなることや有機物を多く含むためBODなどの点から議論の分かれるところである。

種類

■ 目的別

化粧石鹸
洗顔用や浴用などに使われる。 固形・粉石鹸はナトリウム石鹸。 液体石鹸・シャンプー・ボディーソープは溶解度の大きいカリウム石鹸である。 また、ナトリウム石鹸・カリウム石鹸を併用したものもある。
薬用石鹸
殺菌消毒の効果があり、手洗いなどに使われる。 通常の石鹸にトリクロサンやトリクロカルバンなどの殺菌成分を配合したものが一般に普及している。 また逆性石鹸や両性石鹸などの消毒薬として利用される成分からなるものも含めることがある。 日本では医薬部外品として扱われている。
洗濯石鹸
洗濯用固形石鹸は、衣類の手洗いに使われる。 洗濯用粉石鹸は水質汚染に対する意識が高い人や、合成洗剤で皮膚炎を起こす人、合成洗剤の強すぎる洗浄力や蛍光剤などの添加物によって衣類の退色が進むことを嫌う人などが合成洗剤の代わりに洗濯機に投入して使用する。 また、以下のような工夫を行う者がいる。
  • 水温が低いと洗浄力が低下するので、できるだけ高い水温で使用する。環境問題を意識し、風呂の残り湯が利用できる洗濯機にする。
  • 水中の金属イオンと結合すると洗浄力が落ちるので、洗浄に使用する水をイオン交換樹脂で軟水化する。
  • 洗浄後に石けんカスがたまりやすいので、石鹸での洗浄後にクエン酸などの中和剤を投入して濯ぐ。
合成洗剤には賛否あり、大多数が石鹸を選択すると原料である牛脂・ヤシ油・パーム油などの天然油脂および原料となる食料が高騰し発展途上国で食料不足が発生するという説や、植物油脂原料の供給地であるマレーシア・インドネシアなどの熱帯雨林の破壊が進むという説がある。 これに対して、石鹸原料の油脂は産業廃棄物とされている牛脂などを使用しているので原料高騰にはつながらないとする説や、上記を使用しない天然油脂原料の合成洗剤の存在はどう説明するのかという反論もある。

■ 形状別

  • 固形石鹸
  • 粉末石鹸
  • 液体石鹸
  • 紙石鹸

■ 分子性状による分類

普通石鹸
陰イオン界面活性剤からなるもの。 一般的な石鹸のほとんどがこれに該当する。
逆性石鹸(陽性石鹸)
陽イオン界面活性剤からなるもの。 普通石鹸より洗浄力は低いが殺菌力が強く、消毒薬に利用される。 普通石鹸と混合すると両者の作用が減弱する。
両性石鹸
両イオン性界面活性剤からなるもの。 殺菌力が強く、消毒薬に利用される。 普通石鹸と混合しても殺菌力がある程度維持される。

■ 包装

固形石鹸の包み紙としてはパラフィン紙(グラシン紙)が多く使われる。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)